フィットネスコラム

準備運動にストレッチングは必要!?

更新日:2015年 01月 22日
by フィットネスの知っ得情報

皆さんは運動の前にストレッチングを行っていますか? ストレッチングは、ウォームアップやクールダウンの定番です。また、ケガのリスクを減らし、その予防にも有効とされています。

しかし、最近ではこのストレッチングの効果に異論を唱える話題が相次いでいます(1)。特に「スタティック・ストレッチング(静的ストレッチング)」といわれる、関節を伸ばしたまま、あるいは曲げた状態で静止するストレッチングの効果に対しての異論が多くあります。

例えば、これまでの研究では、ふくらはぎとお尻の筋肉のストレッチングによってスプリントとジャンプのパフォーマンスが低下した(1)とするものや、1分間のふくらはぎのストレッチングを5回繰り返すことにより最大筋力が低下した(2)などとするものが報告されています。加えて、40秒間の脚のストレッチングは、関節の伸展性を高めはしたものの、やはりスプリントとジャンプの妨げになった(3)ことなどが示されています。

また、運動の前に30秒間のストレッチングを4回繰り返して行うと、運動時の酸素消費量が増加することを示す研究も報告されています(4)。これは、ストレッチングを行わなかった場合と比較して、同じ負荷でもより多くの酸素を必要とする、つまり運動時のエネルギー効率が悪くなったことを意味しています

もっとも、これらのストレッチングの効果に関する研究では、方法論の問題も指摘されていることから、必ずしもただちにストレッチングが無効、あるいは悪影響をもたらすとは言い切れないところがあります(1)。実際、パフォーマンスへの影響は、ストレッチング実施時間が60秒以上となる場合において起こることが多く、30秒間程度ではほとんど悪影響をもたらすことはないと言えそうです。特にスポーツの場面では、比較的長い時間のストレッチング直後は筋肉の張力が減少し、力の伝達率が低下する可能性があることから、実施時間を30秒以下に抑えることが大切でしょう。

一方で、運動を行ううえで必要な関節の可動域を、ストレッチングによって確保しておくことは、結果的に運動パフォーマンスを高めることにもつながります。また、正常な関節可動域の維持や改善は、日常生活や日ごろのレクリエーション活動を安全に行ううえでも重要です。ただし、傷害の予防に関しては、ストレッチングが腱炎などの傷害の発生リスクを軽減する可能性は低いようです。

このように、ウォームアップやクールダウンの定番であるストレッチングですが、なんとなく行うのではなく、実施時間にも配慮し、続けて行う運動に必要な関節の可動域を確保することなど、目的をもって取り組むことが大切です。

寒い冬の季節などでは特に、いきなりストレッチングを行うことは冷えて固くなったゴムをむりやり伸ばすようなものですので、実施の際には軽いウォーキングや体操などで筋肉を温めてから行うなどの注意が必要です。運動前には準備運動を忘れずに!

 

ストレッチ.jpg

ストレッチングはなんとなく行うのではなく、実施時間にも配慮し、続けて行う運動に必要な関節の可動域を確保することなど目的をもって取り組むことが大切です。

 

**********************************

<参考文献>

1. MagalとThomas、2013年
2. Haddadら、2013年
3. Mizunoら、2013年
4. Paradisisら、2013年
5. Wolfeら、2011年

フィットネスの知っ得情報

彦井浩孝

オレゴン州立大学健康人間科学研究科博士課程修了(Ph.D.)、NPO法人チャレンジ・アスリート・ファンデーション理事長、横浜市病院協会看護専門学校講師、Telacoya旅する小学校講師、トライアスロン歴34年。 子どもから大人まで、チャレンジスポーツを通じて、健康的な地域社会の発展に貢献していくことを目的に活動。地元神奈川県葉山町では「HAYAMANトライアスロン」などのチャレンジスポーツイベントを主催し、「葉山海洋スポーツ塾」「葉山ニッパーズ」では地域の子どもたちに運動スポーツ指導を行っている。また、がん啓発やがんサバイバーらのサポートを通じて、がん撲滅のための活動にも力を入れている。トライアスロン歴28年。アイアンマントライアスロン40回完走。2015年アイアンマントライアスロン世界選手権出場予定。

JAFA会員専用ページ ログイン

『ヘルスネットワーク』誌面テスト

いいまなぶ あなたが豊かで幸せになる学び

JAFA会員限定 活動報告

フィットネス指導に関するQ&A

「HEALTH NETWORK」バックナンバー

フィットネスコラム

グラデュアルパートナーストレッチング on the Web

ページの先頭へ ページの先頭へ

©2014 Japan Fitness Association.