フィットネスコラム

季節の変わり目とエクササイズ

更新日:2015年 03月 23日
by フィットネスの知っ得情報

春分が過ぎ、日に日に春らしくなってきましたが、暖かいと思えばまた寒くなったりと、季節の変わり目では天候が不安定になりがちです。風邪を引いたり、体調を崩したりしやすいため、体調管理には注意が必要です。しかし、日常から運動習慣を続けていれば、健康維持はできるのです。

中程度の強度の有酸素運動を習慣的に行うことは、風邪の予防に有効であると考えられています(1)。これまでの研究によると、週5回の有酸素運動(中強度・45分間)を1年間続けた女性では、週1回のストレッチング(45分間)だけ行ったグループと比較して、風邪のリスクが顕著に低くなったことが示されています(2)。8週間の運動習慣でも、風邪などの原因になる気道の感染を予防する効果があったと報告されています(3)。また、約1万4,000人(50-69歳男性)を対象に、平均6年間にわたる風邪の発症と運動習慣の関連性について調べた研究(4)によれば、週に1~2回、ジョギングや水泳などの運動を習慣的に行っている人では、運動を行っていない人と比較して14%風邪を引くリスクが低いことがわかりました。

風邪の予防に栄養面から効果的とされている栄養素としては、抗酸化作用をもつビタミンCが一般的ですが、これまでに報告された多くの研究論文を総括して検討した結果、ビタミンCの習慣的摂取には風邪の予防効果が特に見られませんでした(5)。ただし、風邪を早く改善させたり、症状を緩和させたりする上では、習慣的な摂取が役に立ちそうです。また、激しい運動を行う人では、さらにビタミンCの有効性が高まるようです。

このように、習慣的な運動やビタミンCのような栄養素の摂取には、風邪を防いだり症状を和らげたりするなどの効果が認められています。しかしながら、これらの効果については学術的根拠がまだまだ不足しており、また、必ずしも研究結果が一貫していないのも事実です。とはいえ、経験的に習慣的な運動を行って栄養面にも気を配ることで、年間を通じてたいした風邪を引くこともなく、毎日を元気に過ごせていることには納得がいきます。日々運動を行い健康的に生活を送っているみなさまにとっても、共感できることではないでしょうか。

 

さて、これまでお送りしてきた本コラム「フィットネスの知っ得情報」ですが、今回で最終回になります。フィットネスに関わる話題を、意外(!?)な視点から最新のエビデンスを交えてお伝えしてきました。運動不足が大きな社会問題となっている昨今、このような情報がもっと幅広く発信されれば運動の有効性がもっと認知され、問題も解消されていくのではないかと願いつつ、読者のみなさまにその役割をお繋ぎできることを期待して締めくくりたいと思います。これまでお読みいただきありがとうございました!

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習慣的な運動を行って栄養面にも気を配ることで、毎日を元気に過ごしましょう。

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<参考文献>

1.Leeら、2014年
2.Chubakら、2006年
3.Barrettら、2012年
4.Hemilaら、2003年
5.HemilaとChalker、2013年

フィットネスの知っ得情報

彦井浩孝

オレゴン州立大学健康人間科学研究科博士課程修了(Ph.D.)、NPO法人チャレンジ・アスリート・ファンデーション理事長、横浜市病院協会看護専門学校講師、Telacoya旅する小学校講師、トライアスロン歴34年。 子どもから大人まで、チャレンジスポーツを通じて、健康的な地域社会の発展に貢献していくことを目的に活動。地元神奈川県葉山町では「HAYAMANトライアスロン」などのチャレンジスポーツイベントを主催し、「葉山海洋スポーツ塾」「葉山ニッパーズ」では地域の子どもたちに運動スポーツ指導を行っている。また、がん啓発やがんサバイバーらのサポートを通じて、がん撲滅のための活動にも力を入れている。トライアスロン歴28年。アイアンマントライアスロン40回完走。2015年アイアンマントライアスロン世界選手権出場予定。

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