フィットネスコラム

花粉の季節の運動習慣

更新日:2015年 02月 23日
by フィットネスの知っ得情報

暖かい春はもうすぐ! とはいえ、鼻がむずむず、目がしょぼしょぼ…、花粉症の方には辛い季節の始まりでもあるようです

花粉症の人にとってこの季節の運動は、やはり好ましくない活動となる可能性が大きいようです。運動を行うと換気量が高まり、より多くの大気中の花粉を吸い込んでしまうからです。花粉症では、抗原である花粉と抗体である免疫グロブリン(IgE)が結合してアレルギー反応を引き起こします。これまでの研究報告(1)によると、花粉症をもつ人では運動(最大負荷の60%強度で40分間)によって血中のIgEが31%高まったことが示されています。花粉症でない人では運動を行っても変化はなく、食物アレルギーのある人では逆に低下したようですので、運動中のIgEの増加は、花粉症特有の現象といえそうです。

とはいえ、習慣となっている運動を中断するわけにもいきません。できるだけ花粉症への影響を抑えながら運動を継続するためには、普段からマスクなどを装着して症状を抑えておくことはもとより、花粉の多い屋外ではなくできるだけ屋内の運動を選ぶようにします。しかし、フィットネスクラブ等の施設への出入りによって、屋外から衣類や髪に付着した花粉が運び込まれる可能性もありますので、屋内へ入る際には花粉を払うなどの注意も必要です。

水泳やアクアエクササイズなどは花粉を吸い込む可能性が低く、花粉症の人にとっては“救い”の運動環境となりそうですが、実際にはプールの水に含まれる塩素などが目鼻の粘膜を刺激してしまうため、かえって症状を悪化させてしまう場合もあるようですので、これも注意を要します。スイム後の洗眼とうがいは十分に行っておきたいものです。

人間の体には、体内に侵入した外敵と闘おうとする働き(免疫機能)がありますが、本来ならば無害な花粉にまで過敏に反応して免疫機能が働いてしまうとアレルギー反応が起こります。これによりヒスタミンなどの物質が放出されると神経や血管が刺激され、くしゃみ、鼻みずや目のかゆみなどのアレルギー症状が起こります。ハードな運動は血中のヒスタミン濃度を高めてしまいます(2)。したがって、花粉症の症状を悪化させることになりかねません。また、長時間の激しいトレーニングは免疫機能を低下させて(3)、花粉やウイルスへの抵抗力を弱めてしまいますので、積極的な疲労回復を図るなどの工夫も講じておきたいものです。

このように、花粉症の方にとって運動にはデメリットがありそうですが、その一方で、習慣的な運動は免疫力を高めてくれるため (3)、長い目で見れば、花粉やウイルスへの抵抗力を高め、花粉症にかかりにくくなったり、かかっても症状が軽くなったりすることが期待できます。ゆっくりめの運動が鼻炎の症状を緩和してくれることも示されています(4)。また、自律神経の調整力も高め、過剰なアレルギー反応を抑制してくれる働きも期待できそうです。やはり、継続的な運動習慣を心がけることが第一なようですね。

 

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花粉症の方にとって運動にはデメリットがある一方、習慣的な運動は免疫力を高めてくれるというメリットもあります。

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<参考文献>

1.Aldredら、2008年
2.Wetterら、2001年
3.Nieman、2000年
4.Tongtakoら、2012年

フィットネスの知っ得情報

彦井浩孝

オレゴン州立大学健康人間科学研究科博士課程修了(Ph.D.) NPO法人チャレンジ・アスリート・ファンデーション理事長  facebook.com/cafhayama ジャパンフォーリブストロング共同代表 facebook.com/japanforlivestrong.org 米LIVESTRONG FOUNDATIONリーダー 子どもから大人まで、チャレンジスポーツを通じて、健康的な地域社会の発展に貢献していくことを目的に活動。地元神奈川県葉山町では「HAYAMANトライアスロン」などのチャレンジスポーツイベントを主催し、「葉山海洋スポーツ塾」「葉山ニッパーズ」では地域の子どもたちに運動スポーツ指導を行っている。また、がん啓発やがんサバイバーらのサポートを通じて、がん撲滅のための活動にも力を入れている。トライアスロン歴28年。アイアンマントライアスロン40回完走。2015年アイアンマントライアスロン世界選手権出場予定。

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